オンデマンド研修で多くの質問が寄せられた内容について、FAQを作成しましたので、研修等の参考にしてください。
ヤングケアラーについて
Q.どこまでがお手伝いで、どこからがヤングケアラーととらえるべきでしょうか。
A.一概には言えませんが、子どもが「つらいと思った時に休めるか」どうかが、違いのひとつです。
支援が必要なヤングケアラーは、多くの場合、家族が日常生活を営むために、家庭での仕事が割り当てられています。つまり、子どもが家事や介護をしなければ、家庭生活が機能しなくなる状態です。これは、子どもにとって、過度な負担と思われる場合が多いと考えられます。
一方、お手伝いは親が家庭での教育の一環としてさせることもあり、「やってくれたら助かる」という場合が多く、子どもが疲れたと思ったときに休んでも、家族の生活は機能しています。
「つらい時や疲れた時に、家事や介護を休めるかどうか」が、違いのひとつです。
【ガイドライン:P2】
Q.ヤングケアラー支援に対する理解については、子どもにどう指導すべきでしょうか。指導することで、「自分はかわいそう」「自分の家はおかしい」と誤った解釈を起こしかねないか心配です。どうしたらよいでしょうか。
A.子どもの権利が守られているかどうかが大切です。
前提として、ヤングケアラーとして介護や家事に取り組むことには、よい面もあります。学校でも、家族の一員であることの大切さについて指導します。
大切なことは、子どもが家事や介護で、友達と遊ぶ時間がない、宿題ができない、部活動をあきらめるなどの影響が出ていないか振り返らせることです。
「家族を助けることは、とてもよいことだけれど、少しがんばりすぎていませんか。休むことはできていますか。」というメッセージを送ることが大切と考えます。
【ガイドライン:P2~5】
Q.「ヤングケアラー=不幸」とならないような理解と支援が必要だと思いますが、実際に子どもにはどのように伝えるとよいでしょうか。
A.「ヤングケアラー」は状況を示すだけで、よい言葉でも悪い言葉でもありません。
子どもの年齢や成熟度にあった家族や親族のケア、お手伝いは、子どもの思いやりや責任感などを育みます。ヤングケアラーは、なんらかのお世話をしている子どもを表す言葉であって、よい言葉でも悪い言葉でもないことには留意が必要です。
大切なことは、子どもが家事や介護で、友達と遊ぶ時間がない、宿題ができない、部活動をあきらめるなどの影響が出ていないか振り返り、「家族を助けることは、とてもよいことだけれど、少しがんばりすぎていませんか。休むことはできていますか。」というメッセージを送ることです。
【ガイドライン:P2~5】
Q.家で手伝うことや家族の一員として家事に参加することは、よいこととして勧めてきましたので、「家の手伝いをすることは間違い」と考えるのは極端に感じています。どのように考えるとよいでしょうか。
A.そのとおりです。「ヤングケアラー=悪」ではありません。
子どもの年齢や成熟度にあった家族や親族のケア、お手伝いは、子どもの思いやりや責任感などを育みます。
学校でも、各教科等で、家族の一員であることの大切さについて指導します。大切なことは、子どもが家事や介護で、友達と遊ぶ時間がない、宿題ができない、部活動をあきらめるなどの影響が出ていないか振り返らせることです。
【ガイドライン:P2~5】
Q.保護者の体調が悪く、きょうだいの面倒を見るために学校を休むという事例がありました。このような事例も、ヤングケアラーに該当するのでしょうか。
A.援助を必要とする身近な人に、何らかのお世話をしていればヤングケアラーです。
高齢、障がい、疾病その他の理由により援助を必要とする家族、友人その他の身近な人に対し、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を行うもののうち、18歳未満がヤングケアラーです。
事例の場合であれば、日常的に学校を休んでいるわけではなくとも、保護者の体調によって今後も欠席を繰り返す可能性もあります。欠席した際の授業をどのように補習するかなど、本人の考えを聞くことが大切です。
【ガイドライン:P1】
家庭の問題への関わり方について
Q.学校として家庭の問題にどこまで関わることができるかわかりません。家庭のことにあれこれ言うのも難しいと感じています。どうしたらよいでしょうか。
A.本人や家族の意向を尊重することが大切です。
学校は、ヤングケアラー本人と接する時間が長く、発見・把握等で特に重要な役割を担っています。家庭そのものの支援ではなく、本人や家族の意向を確認し、適切な支援機関につなげることができるよう、連携先の確認をしておくことが大切です。
【ガイドライン:P10~12、16】
Q.本当なら、親が行う余裕があるのに、過度な家事や介護を、お手伝いとして子どもにさせていたり、頼っていたりする場合は、どうするとよいでしょうか。
A.民生委員や社会福祉課と連携し、多角的に状況を捉えることが大切です。
保護者ができる家事をあえて子どもにさせている場合は、お手伝いをさせているとも考えられます。また、「頼っている」という状況であれば、家庭生活を送る上で子どもの力を借りなければならないのかもしれません。
こうした家庭の状況を、学校が判断することはできないと思います。気になる子どもがいる場合は、民生委員や社会福祉課で把握している情報がないか確認するなど、多角的に状況をとらえ、複数の機関で家庭を見守る体制を整え、継続して見守ることが大切です。
【ガイドライン:P15、18~19】
Q.家庭内のことなので、保護者に伝えるのが難しいと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。
A.プライバシーへの配慮が必要です。本人の意向を確認しましょう。
先生が子どもから教育相談で心配な様子を聞いたので、家族に話を聞きたいとします。教育相談で得た情報については、プライバシーへの配慮が欠かせませんので、子ども本人の意思を確認せず、相談内容を家族に伝えることは難しいのではないでしょうか。
その場合、相談のあった子どもについて、学校生活での支援を検討するとともに、支援を続けていく中で、必要に応じて繰り返し意思確認をすることが大切です。
【ガイドライン:P12、15】
ヤングケアラーの早期発見について
Q.ヤングケアラーを発見した際、最初に関わるのは誰なのでしょうか。
A.ヤングケアラーであることに気付いた機関が関わります。
本人や家族から状況や意向を聞き取るのは、ヤングケアラーを発見・把握した機関が関わっていきます。ヤングケアラー本人にしても、突然知らない人が話を聞きに来るよりも、日頃から接している人の方が話しやすい場合が多いと言われています。
【ガイドライン:P15】
Q.本人が(ヤングケアラーであると)認識していない場合、どのように対応すればよいでしょうか。
A.継続的な見守りが大切です。
本人に自覚がないからといって、「あなたはヤングケアラーだから、なんとかしなければならない」と伝えることはできません。「ヤングケアラー=悪」ではありませんし、かわいそうと思われたり、ケアを受けている家族を悪く言われたりしたくないと感じている場合もあります。また、子どもが責められているように感じ、大人への信頼を損なうこともあります。
本人のことを気にかけ、心を開くまで寄り添い、タイミングをみて困っていることを聞きとるなどして、本人を支えることが大切です。
【ガイドライン:P4~5】
Q.本人が困っていない場合や「大丈夫」という場合の指導と対応はどうするとよいでしょうか。
A.継続的に見守ることが大切です。
家事をすることで困ることがないのであれば、特別な支援(介入)は不要となりますが、将来的に家事が学校生活や進路選択に影響を与える可能性があります。そのため、定期的に教育相談で状況を確認したり、心配される状況を進学先に引き継いだりして、継続的な見守り体制を整える必要があります。
【ガイドライン:P4~5、7】
Q.家庭が、子どもに家事や介護をさせて、ヤングケラーであることを隠している場合はどうするとよいでしょうか。
A.本人や家族の意思を確認し、子どもを中心とした支援の在り方を考えることが大切です。
家庭の状況によって、子どもが家事や介護に参加しないと日常生活を送ることができない場合があります。その際、子どもに過度な負担を強いているとは感じていないことや、子どももその生活が当たり前と考えていることが多いので、一概に「隠している」とは言えません。
子ども本人の意思を確認した上で、学校生活に影響が出ていることを家庭に伝え、子どものよりよい生活に向けて、学校と家庭が協力するという視点で家庭に相談してはいかがでしょうか。
なお、子どもが家庭の状況を知られたくないという思いから、家庭の状況やヤングケアラーであることを隠す場合もあります。まずは、子ども自身がどのような思いをもっているか、何を望んでいるのかを聞くことが大切です。
【ガイドライン:P4~5、12~13】
Q.ヤングケアラーに該当する子どもに気付くことは難しいと思いますが、教員が該当する子どもを見つけるために、積極的にアプローチする必要はあるのでしょうか。
A.「ヤングケアラーがいるかもしれない」という視点が大切です。
日常の児童生徒理解の中で気付いた際に、支援が必要かどうかを確認することが大切です。
これまでも行っている健康観察や教育相談、日頃の教室での会話など、子どもの様子を把握する際に、「ヤングケアラーかもしれない」という視点をもっていることが大切です。
【ガイドライン:P10~11】
Q.家庭での状況を確認するため、いじめアンケートのように学校として定期的に取り組む必要があるでしょうか。
A.日常の学校生活で児童生徒を観察することが大切です。
質問紙やWeb上の入力フォームでアンケートをとることは、学校における取組のひとつとして考えられます。
ただし、アンケートに回答することで「自分の家庭環境が普通ではない」と感じたり、「家庭の状況を家族以外に知られたくない」と考えて正確に回答しなかったりする可能性がないとは言い切れないことには注意が必要です。アンケートを行う場合は、子どもが相談できる窓口を併せて周知するなど、困ったときにいつでも相談できるよう配慮することも重要です。
そのため、これまでも行っている健康観察や教育相談、日頃の教室での会話など、子どもの様子を把握する際に、「ヤングケアラーかもしれない」という視点をもって接することが大切です。
【ガイドライン:P10~11】
Q.ヤングケアラーに対しては、行政の支援が求められると思いますが、行政機関は支援が必要な子どもの把握を、どのようにしているのでしょうか。
A.日頃、子どもと接している機関からの情報です。
ヤングケアラーの早期発見のためには、日頃から子どもと関わっている機関が気付くことが大切です。ヤングケアラーは家庭内の問題であり、表に出にくいものです。日頃から子どもに関わる大人が、「ヤングケアラーかもしれない」と意識する必要があります。
なお、行政の支援も様々ですが、ケアを取り除くことだけが支援の在り方ではありません。本人や家族の意向を踏まえ、どのような支援ができるかを検討する必要があります。
【ガイドライン:P10~13】
ヤングケアラーに対して学校ができる支援について
Q.ヤングケアラーだということを、どのように子どもに理解させるのか、また学習の保障をどのように行うとよいのでしょうか。
A.本人や家族がどのような支援を望んでいるかが大切です。
ヤングケアラーであることが悪いのではありません。また、「あなたはヤングケアラーです」とラベリングすることも必要ありません。日常的に家事を担っている場合でも、必ずしも学校や家庭での生活に大きな影響がなく、子どもの権利が守られているのであれば、特別な支援が必要ない場合もあります。家事や介護により過度な負担を強いられ、子どもの権利が守られていないという状況が課題なのです。
学習の保障については、ヤングケアラー本人や家庭の状況を把握しながら行うことが必要です。例えば、週1~2回補習を実施する、または家庭で課題に取り組む時間を確保するために、ヤングケアラーが担う仕事を家族や福祉サービスの利用で代行できるか検討することなどが考えられます。
こうした支援の方策については、関係機関につないで、家族全体への支援とあわせて検討することが大切です。
【ガイドライン:P16~19、28】
Q.子どもにヤングケアラーとはどのようなものか、知ってもらう必要があるのではないでしょうか。授業で取り上げたり、保護者に啓蒙したりすることはできるのでしょうか。
A.「ヤングケアラー=不幸」とならないように伝えることが大切です。
家庭科や福祉などの教科・領域において、学習内容と関連させて扱うことは考えられます。ただし、ヤングケアラーは、なんらかのお世話をしている子どもを表す言葉であって、よい言葉でも悪い言葉でもないことには留意が必要です。
なお、道教委では、次のような児童生徒向け資料も作成しています。子どもへの周知のほか、保護者会での話題提供にも活用できるのではないでしょうか。
【ガイドライン:P2~5】
Q.実際にヤングケアラーと思われる子どもがいた場合、学校現場でどのような支援や取組ができるのでしょうか。具体的な方策はどのようなことでしょうか。
A.市町村の相談窓口に連絡し、関係機関が役割分担することが大切です。
ヤングケアラーが置かれている状況によって異なります。まずは、市町村のヤングケアラー対応窓口(※)に連絡することが大切です。
ケース会議等を開き、関係機関と情報共有する中で、学校の役割についても明確になると思います。考えられる対応としては、登校時の健康観察、登校できない場合の学習機会の確保、個々の学びや家庭での学習状況に応じた宿題の設定、部活動への柔軟な参加(家庭の状況に応じて欠席や早退をできるようにする)などが考えられます。
こうした支援策についても、当該ヤングケアラーの意向を踏まえて行うことが大切です。
※市町村のヤングケアラー対応窓口については、令和4年(2022年)6月29日付け教生学第361号通知で学校、市町村教育委員会にお知らせしています。
【ガイドライン:P16~19】
Q.早期発見、連絡、心のケア以外学校でできることはありますか。
A.学校での居場所づくりは、ヤングケアラーに限らず大切な取組です。
学校は、教育機関ですので、個に応じた学びの充実に取り組むことが考えられます。宿題や家庭学習の時間が確保できなくても、授業の中で学習内容を確実に身に付けることや、同級生と関わって学ぶ楽しさを味わうことで、ヤングケアラーにとってケア(家事を含む)以外の居場所になり、心理面でのフォローにもつながります。
子どもが学校に通いたいと感じることができる魅力ある学校づくりは、ヤングケアラーへの支援としても、大切なことだと考えます。
【ガイドライン:P17】
Q.学級に、幼い弟や妹の世話をしている、ヤングケアラーであることが疑われる子どもがいます。その子どもに対して、「あなたの行為はヤングケアラーというものであり、あなたのするべきことではない」という話をするべきでしょうか。
A.危険が差し迫っていない限り、支援の必要性や意向を確認したり、相談窓口に相談したりすることが大切です。
当該の子ども(以下、Aとします)は、家族の関係の中で幼い弟や妹の世話をするという仕事を担っているのだと思います。A自身は、どのように考えているのでしょうか。世話をすることで登校できない、宿題ができない、友達と遊べないなどの影響が出ているかなどを先に確認しましょう。
A以外に世話をする人がいない状況で、「あなたのするべきことではない」と伝えた時、Aはどのように感じるでしょうか。「きょうだいの世話をすることは悪いこと」「自分がしていることは、おかしいこと」「家族が否定された」「自分がやらなければ、誰がやるのか」など、かえって不安や混乱を招くことはないでしょうか。特に、家族が否定されたような印象を与えれば、家族が悪く言われることを恐れ、つらい状況になっても身近な大人に相談したいとは思わなくなる可能性があります。
ヤングケアラーの問題に限りませんが、子どもや保護者に寄り添った支援とは、相手を否定しないことが基本です。Aやその家族の在り方を変える支援ではなく、Aが幼いきょうだいの世話をしていたとしても、学校生活等で困らないように支援していくことが大切ではないでしょうか。
Aの置かれた状況が、命や心身の安全に影響を及ぼすような状況でない限りは、Aやその家族に支援が必要かどうか、支援を受ける意向があるかどうかを確認したり、市町村の対応窓口に相談したりすることが大切です。
【ガイドライン:P5,P14~15】
Q.ヤングケアラーの生徒について、いつからそのような状況になったのかを知りたいと思いました。小学校と中学校の連携はもとより、中学校と高等学校の連携をどのようにしていくとよいのでしょうか。
A.学校間の引継ぎや、関係機関の情報共有から始めましょう。
令和3年度に中学生、高校生を対象に道が実施した調査では、ヤングケアラーと考えられる生徒の中には小学校高学年からケアを行っていると回答している子どもがいることが分かっています。継続的な支援を行うためにも、学校間の情報共有は重要です。
進学先等に子どもの状況や、支援に当たっている関係機関の連絡先等を引き継ぐのはもちろんのこと、本人や家族が支援を希望せず、定期的に教育相談を行っているなどの学校の支援状況についても、継続した支援ができるよう伝えていくことが大切です。
また、学校も支援を行う関係機関ですので、ケース会議等に進学予定先の教職員や、前籍校の教職員が参加することも考えられます。これまでの支援状況や、今後の支援の方向性、役割分担についても確認できるのではないでしょうか。
【ガイドライン:P16~20】
Q.ヤングケアラーへの対応マニュアルや、事例・対応集などがあると、学校も理解や対応がしやすいと感じます。
A.本ガイドラインを参考にしてください。
FAQの説明に使用しているガイドラインは、ヤングケアラーの定義から関係機関との連携、支援開始後の見守りまでをフローとして示しています。ただし、ヤングケアラーのおかれた状況や地域の支援体制等、地域の実情に応じた支援が必要ですので、具体的な支援のマニュアルは、自治体にお問い合わせください。
なお、ヤングケアラーの支援事例等について、次のような資料を学校、市町村教育委員会に送付していますので、参考にしてください。
・令和4年(2022年)6月29日付け教生学第361号通知「北海道ヤングケアラー相談対応窓口一覧について」
関係機関との連携について
Q.ヤングケアラーに気付いた際、つなぐべき関係機関とはどこですか。
A.市町村の相談対応窓口です。
市町村のヤングケアラー相談対応窓口に相談しましょう。令和4年(2022年)6月29日付け教生学第361号通知で学校、教育委員会にお知らせしています。
【ガイドライン:P19】
Q.学校と福祉分野との連携が不可欠ですが、実際に対応を迫られた場合、判断は難しいと感じます。どうしたらよいでしょうか。
A.関係機関との「顔の見える関係」づくりが大切です。
支援が必要なヤングケアラーを発見してから「関係機関との連携をどうしようか」と考えるのではなく、日常的にどこに相談すればよいのか確認しておくことが大切です。
また、定期的に、市町村の関係機関と学校が顔を合わせる機会をもつなど、多機関の連携を図るためにはお互いに「顔の見える関係」をつくっていくことが大切です。
【ガイドライン:P16~17】
Q.スクールソーシャルワーカー(SSW)に相談すると、行政や専門機関への働きかけをしてもらえるのでしょうか。
A.SSWの役割は、アセスメントとプランニングです。
SSWの状況によってできることは異なりますが、主にアセスメントとプランニングを行います。必要に応じて、行政や専門機関への働きかけを行う場合もあります。
学校がもっている情報や、本人や保護者の意向を踏まえ、ヤングケアラーの支援のために取り組むべきことを整理するとともに、学校や関係機関が行うことを整理し、当面の支援策を立てることが大きな役割です。子どもの手続き支援等を行う場合もありますが、必ずしも関係機関との連携を代行するわけではありません。
【ガイドライン:P29】
Q.北海道スクールソーシャルワーカー(SSW)の支援ケースの中には、解消まで長くかかったり、複数回の支援をしたりすることもあると思うのですが、遠隔地においても、こうしたきめ細かな対応をお願いすることができるでしょうか。
A.派遣した際に、継続派遣の必要性や次回派遣日について確認します。
SSWの状況によってできることは異なりますが、主にアセスメントとプランニングを行いますので、支援が必要な子どもや家庭に対して関係機関がどのような支援をしていくのかをアドバイスすることが主な支援になります。
学校や関係機関が把握している情報を整理して本人や保護者の状況をアセスメントした上で、関係機関が支援に向けて取り組むことを整理するなど、当面の支援策を立てることが大きな役割です。直接支援を行うこともありますが、基本的にSSWが一人ですべての支援を行うわけではありません。
遠隔地においても継続的な支援は可能です。北海道SSWの場合、初回派遣時に次回派遣日についても協議します。また、ケース会議等で進捗状況を確認するなどの継続支援の場合、オンラインでの派遣も可能です。
Q.学校には、スクールソーシャルワーカー(SSW)が巡回等で来校していません。どのように活用したらよいでしょうか。
A.北海道SSWの派遣を活用できます。
市町村でSSWを任用していない場合や、道立学校の場合は、北海道SSWを派遣することができます。派遣については、市町村教育委員会や教育局にお問い合わせください。
Q.教職員向けの校内研修等でスクールソーシャルワーカー(SSW)を利用できるとありがたいのですが、支援対象となる児童生徒がいないと利用できないのでしょうか。
A.北海道SSWやエリア・スーパーバイザーの派遣を活用できます。
支援対象となる子どもがいなくても、北海道SSWを校内研修等で派遣することは可能です。毎年、多くの学校から校内研修への派遣申請があります。
また、SSW活用事業の委託事業実施市町村においては、エリア・スーパーバイザーの派遣も行っていますので、市町村教育委員会を通じて各教育局にお問い合わせください。
なお、市町村で任用しているSSWについては、市町村教育委員会にお問い合わせください。
Q.地域や関係機関と連携したのりしろ型の支援を行うために、PTAやコミュニティスクールも生かした取組も考えられるのではないでしょうか。例えば、PTA研修会などでスクールソーシャルワーカー(SSW)に講演してもらい、多くの方に理解していただき、支援の可能性を探ることも必要ではないでしょうか。
A.既存の組織体を活用し、地域で子どもを見守る取組を推進することは有効です。
ヤングケアラーは家庭の問題であり、学校が何らかの支援をすることで解消につながるものではありません。継続的に見守る体制を整え、地域全体で支援していくことが大切です。そのため、市域住民の協力を得ながら、継続的な支援体制を構築することは重要です。PTAやコミュニティスクールといった既存の組織体を活用し、共通理解を図ることは有効だと考えられます。
ただし、SSWはソーシャルワークを行うことが役割であり、ヤングケアラー支援に特化した専門家ではないことに留意願います。
【ガイドライン:P20】
Q.ヤングケアラーを発見した場合、虐待などのように児童相談所への通告を行ってもよいのでしょうか。
A.命や心身に危険が及ぶ場合は、速やかに児童相談所等に連絡しましょう。
ヤングケアラーと思われる子どもを発見した後は、子ども本人や家族の命に危険が及んだり、心身に危険が及んだりする可能性がないか、重大な権利侵害がないかなどを確認し、そのリスクがあれば、速やかに児童相談所、自治体に連絡をしましょう。
児童相談所による一時保護、自治体による緊急の福祉サービス導入、入院などの対応が検討される場合もあります。
【ガイドライン:P14】
Q.ヤングケアラーを発見した場合、虐待のように通告の義務はあるのでしょうか。
A.ありません。ヤングケアラー=虐待ではありません。
ヤングケアラーと思われる子どもを発見した後は、子ども本人や家族の命に危険が及んだり、心身に危険が及んだりする可能性がないか、重大な権利侵害がないかなどを確認し、そのリスクがあれば、速やかに児童相談所、自治体に連絡をしましょう。
「ヤングケアラー=悪」ではありませんので、心身の危険や重大な権利侵害がない限りは、本人や家族の意向を踏まえた支援が必要です。必ずしもすべてのケースにおいて連携して支援を行う必要はありませんが、判断に悩む場合は、ヤングケアラーコーディネーターや、市町村の対応窓口に相談してください。
【ガイドライン:P14】
Q.ヤングケアラーの支援には、福祉制度のさらなる充実が必要なのではないでしょうか。
A.特別な支援を考える必要はありません。
ヤングケアラーがおかれている状況や意向は様々ですので、求められる支援内容も多種多様です。したがって、ヤングケアラーに対応できる機関・部署が既存の支援を組み合わせ、ケースごとに支援内容を考える必要があります。
ヤングケアラーに対して何か特別・特殊な支援や、新たな支援策を考えるのではなく、関係機関がそれぞれの業務を少し広げてできることを考える「のりしろ型支援」が大切です。既にある支援を組み合わせることが求められるため、各機関の役割や支援できることを理解しておき、連携を図ることが重要です。
【ガイドライン:P6~7】
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本ページに掲載しているFAQの一覧です。内容は同じものです。