教育行政執行方針(令和8年(2026年)2月)
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Ⅰ 教育行政に臨む基本姿勢
Ⅱ 重点政策の展開
1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進
2 学びの機会を保障し質を高める環境の確立
3 地域と歩む持続可能な教育の実現
Ⅲ むすび
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Ⅰ 教育行政に臨む基本姿勢
令和8年第1回定例会の開会に当たり、教育行政に臨む基本姿勢を申し上げます。
人口減少や少子化の進行、AI技術の進展など社会の変化が激しい現代において、教育行政の使命は子どもたち一人一人の健やかな成長を支え、未来を切り拓く力を育むことです。
相互に多様性を認め合い、多様な子どもたちを誰一人取り残さない教育を推進し、社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成するとともに、地域・家庭と連携して持続可能な教育体制を構築し、子どもたちが未来の担い手として学びの歩みを進める教育を推進します。
Ⅱ 重点政策の展開
次に、令和8年度において、重点的に取り組む3つの柱の政策を申し上げます。
1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進
一つ目は、子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進です。
急激に変化する時代の中で、子どもたち一人一人が自分のよさや可能性を認識し、様々な体験を通じて社会的変化を乗り越えることができる資質・能力を育成することが重要です。
幼児教育では、保育者への研修や助言を通じ、幼児の発達の特性や個々の課題に応じた質の高い教育の提供を目指すとともに、幼児教育施設と小学校等が協働した架け橋期の教育の充実等、幼児期からの学びや生活の基盤づくりを推進します。
義務教育では、教育活動の質の向上に向け、ICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図り、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善に取り組みます。
家庭・地域と連携した望ましい学習・生活習慣の確立や小学校における教科担任制の推進、中学校における少人数学級の拡大、英語教育の充実や帰国・外国人児童生徒等への支援に取り組みます。
アイヌの人たちの歴史・文化、北方領土、縄文遺跡群や観光など各地域の教育資源を活用したふるさと教育の推進、地域の特色を活かし学校教育全体を通じた道徳教育の充実、SDGsの達成や実社会での課題解決に生かしていくための教科等横断的な教育活動を推進します。
子どもたちのスポーツを楽しむ心を育み、体力・運動能力の向上を図るため、教員の資質向上や子どもの運動習慣定着に向けた取組の推進、多様化する健康課題へ対応するための養護教諭、栄養教諭の資質向上、望ましい食習慣の定着など健康教育の充実を図ります。
高校教育では、義務教育段階との連続性を大切にしながら、実社会での課題解決に生かしていくための探究的な学びの一層の充実を図ります。
自治体や産業界と連携した専門高校での実践的な職業教育、インターンシップ等によるキャリア教育の充実、姉妹提携地域等との交換留学などによるグローバル人材の育成、学校の活性化や特色ある教育活動への支援等を行うクラウドファンディング事業に取り組みます。
高校無償化の本格実施により、子どもたちの選択の幅が拡がることを踏まえ、地域の方々と連携した高校の魅力化とその発信に積極的に取り組みます。
特別支援教育では、子どもの自立や社会参加を見据え、全ての教員が多様なニーズに対応できる指導力の向上を図るとともに、適切な就学先の決定に向けた支援や就労支援の充実、医療的ケアの体制整備、日頃の学習成果を発揮できる場の充実に取り組みます。
また、障がいのある子どもと障がいのない子どもがともに学び、多様な在り方を相互に認め合える共生社会の形成に向け、引き続きインクルーシブ教育システムの構築を推進します。
2 学びの機会を保障し質を高める環境の確立
二つ目は、学びの機会を保障し質を高める環境の確立です。
多様な子どもたちを誰一人取り残さない学びの機会を確保するとともに、全ての人々が地域や家庭の経済状況に関わらず、質の高い教育を受けることのできる環境を整備することが重要です。
学校教育に不可欠なツールであるICTを活用した学びの充実に向けては、遠隔授業配信センター「T-base」の配信体制の充実や義務教育段階の1人1台端末の計画的な更新に取り組むとともに、生成AIの利活用を含めた教員のICT活用指導力の一層の向上や、小学校から高校まで12年間を見通した学習の基盤となる児童生徒の情報活用能力の更なる育成に取り組みます。
いじめや不登校への対応では、生徒指導担当教師の配置拡充をはじめ、いじめの未然防止に向けたコミュニケーション能力の向上や望ましい人間関係を築く力を育成します。
積極的な認知による「いじめ見逃しゼロ」やいじめの重大化を防ぐ取組の徹底を図るとともに、多様な学びを支援するため、教育支援センターはもとよりメタバースを活用した不登校児童生徒への教育機会の確保を図るなど、全ての児童生徒が安心して学べる魅力ある学校づくりに取り組みます。
スクールカウンセラー等外部専門家の派遣や子ども相談支援センターの24時間対応、1人1台端末の活用など、教育相談体制の充実を図ります。
子どもの学びを支える教員は教育の要です。教員の確保では、教員志望者の裾野を広げるため、高校生対象の「みらいの教員育成プログラム」や大学生対象の「草の根教育実習」等、教職の魅力を伝え、教職志望意欲を高める取組を実施するとともに、教員採用選考検査の内容についても更なる改善を図り、市町村教育委員会や大学などと連携して教員確保に全力で取り組みます。
教員等の資質向上では、教員研修の充実を図るとともに、教職員の不祥事根絶に向けて教職員一人一人への心に響く指導を徹底してまいります。
学校における働き方改革では、昨年改正された給特法等を踏まえ、学校現場の実情に即した業務の精選・効率化や保護者・地域等との連携協働を推進します。
教員業務支援員の配置や弁護士による法律相談に加え、副校長・教頭マネジメント支援員の配置拡充など学校サポート体制の充実に努めるとともに、教職員の処遇改善や健康確保と合わせ、学校が「働きやすさ」と「働きがい」を両立する職場となるよう取り組みます。
学びのセーフティネットでは、子どもの教育環境が家庭の経済状況に左右されることのないよう、高校の授業料無償化をはじめ、教育費の負担軽減の拡充、地域における学習支援の充実、ヤングケアラーと思われる子どもを適切な支援につなげる相談体制の充実などを進めます。
様々な理由で学校に通えなかった方などの学習機会を確保するため、夜間中学の在り方を検討するとともに、ICT活用による年齢や居住地域等にとらわれない学び直しの支援に取り組みます。
3 地域と歩む持続可能な教育の実現
三つ目は、地域と歩む持続可能な教育の実現です。
学校と地域が協働し、地域への愛情や誇りを持ち、本道の未来を創る人材を育成することにより、地域創生の実現につなげていくことが重要です。
自治体や企業・団体等と学校の連携・協働を進める地学協働体制の構築や、公民館等社会教育施設の機能を活かした地域課題解決に主体的に関わる人材育成を進めます。
中学校部活動の地域展開に向け、アドバイザー派遣やサポーターバンクの充実、民間企業等からの支援体制の構築など関係団体等と連携し、地域の実情に応じたスポーツ・文化芸術環境の整備に取り組みます。
高校へのコミュニティ・スクール導入促進や地域創生の観点に立った教育機能の維持向上などを図り、将来を見据えた高校づくりを進めます。
子どもたちの安全・安心の確保では、昨年発生した地震や津波等を踏まえ、自然災害から命を守る防災教育をはじめ、大規模災害発生時に学校を早期再開するための支援体制の充実、防犯教育や犯罪に加担させないための取組、暑さ対策やヒグマ対策など、子どもたちの安全で快適な教育環境の整備に取り組みます。
生涯学習の推進では、道民の皆様が豊かな人生を送ることができるよう、子どもの多様な体験活動や家庭教育支援の推進、道民カレッジを通じた学びの機会の充実に取り組むとともに、障がいの有無にかかわらず誰もが学び続けられる支援体制づくりや家庭・地域・学校等における読書活動の推進に取り組みます。
文化の振興では、天然記念物など文化財の保存・活用の支援、旧石器時代や縄文遺跡群等の特色ある文化財の魅力発信の充実など、歴史・文化への理解と北海道への愛着の醸成を図ります。
道立美術館では、令和9年に開館50周年を迎える近代美術館のリニューアルに向け基本計画の策定に取り組みます。
以上、申し上げた政策を着実に推進してまいります。
Ⅲ むすび
次代を担う子どもたちが自らの人生を舵取りできるよう、誰一人取り残さず健やかに育成することは、未来への確かな投資だと考えています。
教育は、「持続可能な社会の創り手」を育てることはもとより、教育活動全体を通じ、子どもたちをはじめ、教職員、学校、地域、社会のウェルビーイングの向上を図る重要な役割を有しております。
道教委では、「こども基本条例」や「こどもまんなか」の理念を大切にしながら、教育が直面する課題に対し、地域とも手を取り合い、北海道全体で子どもたちの学びを支えてまいります。
道民の皆様、道議会議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
