教育行政執行方針(令和7年2月)

教育行政執行方針(令和7年(2025年)2月)

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Ⅰ 教育行政に臨む基本姿勢

Ⅱ 重点政策の展開
1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進

2 学びの機会を保障し質を高める環境の確立

3 地域と歩む持続可能な教育の実現

Ⅲ むすび
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Ⅰ 教育行政に臨む基本姿勢

 令和7年第1回定例会の開会に当たり、教育行政に臨む基本姿勢を申し上げます。
 
 変動性や不確実性、複雑性の高い時代の中でも、未来を担う子どもたちが、自分や他者を価値のある存在として尊重し、相互に多様性を認め合い、自信を持って自らの夢や目標に向かい進んでいけるよう、多様な子どもたちを誰一人取り残さない教育を進めるとともに、子どもたちを支える教職員の働き方改革をはじめ、より良い教育環境の整備につながる施策を推進します。

Ⅱ 重点政策の展開

 次に令和7年度において、重点的に取り組む3つの柱の政策を申し上げます。

1 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進

 一つ目は、子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進です。
 急激に変化する時代の中で、子どもたち一人一人が自分のよさや可能性を認識し、様々な体験を通し社会的変化を乗り越えることができる資質・能力を育成することが重要です。

 幼児教育では、保育者への研修や助言を通じ、幼児の発達の特性や個々の課題に応じた質の高い教育の提供を目指すとともに、幼児教育施設と小学校が協働した架け橋期の教育の充実等、幼児期からの学びの基盤づくりを推進します。

   義務教育では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な推進に向け、ICTを活用した授業改善のほか、家庭・地域と連携した望ましい学習・生活習慣の確立や小学校における教科担任制の推進、コミュニケーション能力を重視した英語教育の充実や外国人児童生徒等への支援に取り組むとともに、アイヌの人たちの歴史・文化、北方領土や縄文遺跡群など各地域の歴史等を学ぶふるさと教育の推進、規範意識や思いやり、生命を尊重する心を育む道徳教育の充実、地球規模の様々な課題解決目標であるSDGs達成などに向けた、教科等横断的な教育活動を推進します。
 子どもたちのスポーツを楽しむ心を育み、体力・運動能力の向上を図るため、教員の資質向上や運動習慣の定着に向けた取組の推進、多様化する健康課題へ対応するための養護教諭等の資質向上、望ましい食習慣の定着等健康教育の充実を図ります。

 高校教育では、義務教育段階の学びを踏まえ、ICTの活用や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善や探究的な学びなど実社会での課題解決に生かしていくための教科等横断的な学習の充実を図ります。
 自治体や産業界と連携した専門高校での実践的な職業教育や、インターンシップ等によるキャリア教育の充実、姉妹提携地域等との交換留学などによるグローバル人材の育成、学校の活性化や特色ある教育活動への支援等を行うクラウドファンディング事業に取り組みます。

 特別支援教育では、子どもの自立や社会参加に向け、教員の専門性向上や一人一人の教育的ニーズに応じた学びの充実を図るほか、適切な就学先決定に向けた支援やキャリア教育・就労支援の充実、保護者の負担軽減も含めた医療的ケアの体制整備に取り組みます。

2 学びの機会を保障し質を高める環境の確立

 二つ目は、学びの機会を保障し質を高める環境の確立です。
 多様な子どもたちを誰一人取り残さない学びの機会を確保するとともに、全ての人々が地域や家庭の経済状況に関わらず質の高い教育を受けることのできる環境を整備することが重要です。
 学校教育に不可欠なツールであるICTの活用に向けては、教員の指導力向上やオンライン学習への支援に取り組むとともに、義務教育段階の1人1台端末の計画的な更新、ICT支援員を活用した学校DXの推進、遠隔授業配信センターT-baseの充実等、小学校から高校まで12年間を見通した学習の基盤となる情報活用能力の更なる育成に取り組みます。
 
 いじめや不登校への対応では、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充やいじめの未然防止に向けてコミュニケーション能力の向上や望ましい人間関係を築く力を育むとともに、積極的な認知による「いじめ見逃しゼロ」の取組等の徹底を図るほか、多様な学びを支援するため、教育支援センターはもとよりメタバースを活用した不登校児童生徒への教育機会の確保を図るなど、全ての児童生徒が安心して学べる魅力ある学校づくりに取り組みます。
 スクールカウンセラー等外部専門家の派遣や、子ども相談支援センターの24時間対応、1人1台端末の活用等、教育相談体制の充実を図ります。

 子どもの学びを支える教員は教育の要です。
 教員の確保では、教員志望者の裾野を広げるため、高校生対象の「みらいの教員育成プログラム」等、教職の魅力を伝える取組や大学生対象の「草の根教育実習」等、教職志望意欲を高める取組のほか、教員採用選考検査の受検資格の拡大や潜在的な教員を対象とした説明会等の取組を大学などと連携して進めます。
 教員等の資質向上では、教員育成指標に基づく研修計画を着実に実施しつつ、全国教員研修プラットフォームによる多様な研修講座の提供やオンラインの活用等を通じ、教師の学びを支える教員研修の充実を図ります。
   教職員の不祥事根絶に向けては、「教職員のコンプライアンスハンドブック」など研修資料の充実を図り、教職員一人一人に強い自覚を促す指導を徹底します。
 学校における働き方改革では、教職員の働き方改革の意識を高める取組や保護者・地域等との連携協働を推進するほか、教員業務支援員の配置や弁護士による法律相談に加え、引き続き、副校長・教頭マネジメント支援員を試行的に配置するなど、学校サポート体制の充実に努め、教職の重要性などを踏まえた教職員の処遇改善と合わせ、学校が「働きやすさ」と「働きがい」を両立する職場となるよう取り組みます。

 子どもの教育環境が家庭の経済状況に左右されることのないよう、高校授業料等の負担軽減、地域における学習支援の充実、ヤングケアラーと思われる子どもを適切な支援につなげる体制の構築等を進めます。
 様々な理由で学校に通えなかった方などの学習機会を確保するため、夜間中学の在り方の検討や、ICTを活用し年齢や居住地域等にとらわれない学び直しの支援に取り組みます。

3 地域と歩む持続可能な教育の実現

 三つ目は、地域と歩む持続可能な教育の実現です。
 持続可能な地域づくりにあたっては、学校と地域が協働し、地域への愛着・誇りを持ち、仕事を通じて経済的に自立し、地域の課題解決に主体的に参画する人材を育成することが重要です。

 自治体や企業・団体等と学校の連携・協働を進める地学協働体制を構築し、地域課題解決に主体的に関わる人材育成を進めます。
 中学校での休日の部活動の地域移行に向け、アドバイザー派遣やサポーターバンクの充実、民間企業等からの支援体制の構築など、関係部署等と連携し、地域の実情に応じた持続可能なスポーツ・文化芸術環境の整備に取り組みます。
 高校へのコミュニティ・スクール導入促進や地元の子が地元で学び、自らの進路実現が可能となる多様で質の高い教育環境の整備、地域創生の観点に立った教育機能の維持向上などを図り、将来を見据えた高校づくりを進めます。

 子どもたちの安全・安心の確保では、地震や津波等自然災害から命を守る防災教育や、大規模災害発生時に学校を早期再開するための支援体制の充実、防犯教育に加え犯罪に加担させないための取組、暑さ対策や感染症対策等、子どもたちの安全で快適な教育環境の整備に取り組みます。

 生涯学習の推進では、道民の皆様が豊かな人生を送ることができるよう、子どもの多様な体験活動や家庭教育支援の推進、道民カレッジを通じて、学びの機会の充実に取り組むほか、障がいのある方々の生涯学習の充実、家庭・地域・学校等における読書活動の推進と環境整備に取り組みます。

 文化の振興では、文化財の保存・活用の支援、旧石器時代や縄文遺跡群等の特色ある文化財の魅力発信の充実により、歴史・文化への理解と北海道への愛着の醸成を図ります。
 道立美術館では、令和9年に開館50周年を迎える近代美術館のリニューアルに向け基本計画の策定に取り組みます。

 以上、申し上げた政策を着実に推進してまいります。

Ⅲ むすび

 教育は、子どもたち一人一人の人生を幸せで豊かなものにするとともに、「持続可能な社会の創り手」の育成と、教育活動全体を通じ、子どもたちはもとより教職員、学校、地域、社会のウェルビーイングの向上を図る重要な役割を有しております。
 北海道教育委員会では、教育施策とこども施策を相互に連携させ、「こどもまんなか」の理念を大切にしながら、全ての子どもたちが質の高い教育を受け、自らの夢を実現することができるよう本道教育の発展に全力で取り組んでまいります。

 道民の皆様、道議会議員の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

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