はじめに

 

木材を利用した学校施設の手引き(平成15年3月)

 

はじめに

 戦後から昭和50年代前半までの学校施設は、戦災復興や新制中学校の発足、さらにはベビーブームや社会増による児童生徒の急増等に対処するため、主として教室不足の解消に重点を置いて整備が進められてきた。また、火災や地震等に対する安全性を確保するため、建物の不燃堅牢化が重要視され始めた時代でもあったことなどから、結果として画一的な鉄筋コンクリート造の建物を全国に大量に生み出すこととなった。
  しかし、近年では、社会情勢が急速に変化する中、社会の変化に柔軟に対応できる子ども達を育成するため、教育内容・方法等も変化してきており、これに伴って、学校施設の整備においても、教育内容等の多様化に対応した施設づくり、児童生徒の学習や生活の場としてふさわしいゆとりと潤いのある施設づくり、地域の多様な学習活動を積極的に支援できる施設づくりなどの特色ある学校づくりに重点が置かれるようになってきている。
  また、地球温暖化、オゾン層の破壊、海洋汚染など、さまざまな地球環境問題が社会的に大きく取り上げられ、世界共通の課題として認識されてきたことから、我が国においては「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取り組みのための行動計画(率先実行計画)」の中で、「建築物の建設、管理等に当たっての環境保全への配慮」を挙げ、環境負荷削減に配慮した建築物等の整備、維持管理及びその周辺の自然環境の保全を求めており、学校施設においても環境に配慮した学校施設の整備が求められている。
  このように、学校施設整備の重点は、量的な整備から質的な整備に移行してきている。
  学校施設は、子ども達の学習の場であるとともに、一日の多くを過ごす生活の場でもあることから、日常的に使用する子ども達を主体に考え、発達成長段階にある子ども達にふさわしい室内環境の向上を図ることが大切である。また、創造的で人間性豊かな子どもを育成する教育の場として整備していくことに加え、今後は環境教育についても配慮して整備していくことが望ましいとされている。
  また、今日の学校施設は、地域の文化・教育の拠点、生涯学習の場として位置づけられることが一般化しつつあり、地域住民に対して、より開かれた施設環境を確保するとともに、地域における自然環境の保全に有効で、環境教育の場としても活用できるような学校施設の整備が望まれている。
  さらに、学校施設の建設、維持、解体というライフサイクルの中で、地球的規模での環境への負荷の低減を図っていくことも大切である。
  このような今後の学校施設に求められている課題に対応するためには、我が国の風土に適した建築材料である木材の使用が極めて有効である。

 

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