発掘調査基準について
平成12年3月31日 教文第 5332 号 各教育局長、各市町村教育委員会教育長あて 北海道教育委員会教育長通知
開発事業に伴う記録保存のための発掘調査の要否に関し、平成10年9月29日付け庁保記第75号「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について」文化庁次長通知(PDF)(同年11月18日付け北海道教育委員会公報第5632号掲載)に基づき、別記のとおり「発掘調査基準」(平成12年2月28日教育長決定。以下「基準」という。)を定め、本日から施行することとしましので、通知します。
なお、基準に照らして発掘調査又は確認調査の対象とならない場合であっても、埋蔵文化財保護のための事前協議並びに文化財保護法第57条の2の規定による届出及び第57条の3の規定による通知は従前どおりですので、留意願います。
記
1 基準の2の(1)関係
通常の発掘調査が実施できない場合は、工事立会の取扱いとする。
2 基準の2の(2)関係
アに規定する保護・保全措置とは、保護層・保護帯の確保、植生工、埋め戻し等をいい、その取扱いは地質・土壌条件や工事内容等を勘案して判断する。
3 基準の2の(3)関係
(1) 鉄道及び滑走路は道路に準ずる。
(2) アのaに規定する歩道等には、自転車道、自転車歩行者道、自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路を含むものとする。
(3) アのaのただし書きに規定する車道と同構造の場合とは、拡幅の際に車道として供用できる構造の場合をいう。
(4) アのeに規定する舗装化が予定されている砂利道の場合は、先行して発掘調査を実施することは差し支えない。
(5) 駐車場については、道路管理者が設ける路外駐車場は発掘調査の対象とするが、建築物の附属施設としての駐車場は発掘調査の対象としない。
(6) オに規定する確認調査の面積は、最大で対象面積の10%程度とする。
(生涯学習部文化課調査班)
別記
発掘調査基準
(平成12年2月28日教育長決定)
1 目的
この基準は、開発事業に伴う記録保存のための発掘調査の要否について定めることを目的とする。
2 発掘調査の要否
(1) 埋蔵文化財が掘削され、破壊される場合
発掘調査を行うものとする。
(2) 埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがある場合
ア 適正な保護・保全措置が講じられない場合は、発掘調査を行うものとする。
イ 一時的な盛土や工作物の設置で、地質・土壌条件を勘案して不適当な場合は、発掘調査を行うものとする。
(3) 埋蔵文化財が損壊したのに等しい状態となる場合
ア 道路等
次に掲げるものを除き、発掘調査を行うものとする。
a 一時的な工事用道路、道路の植樹帯、歩道等。ただし、植樹帯・歩道等が車道と同構造の場合は、発掘調査を行うものとする。
b 高架・橋梁の橋脚間
c 道路構造令(昭和45年政令第320号)に準拠していない農道及び私道
d 道路の拡幅・改良の場合の既存道路部分
e 砂利道(歴青路面処理を含む。)。ただし、舗装化(簡易舗装を含む。)の際には、d にかかわらず、発掘調査を行うものとする。
イ ダム・河川
(ア) ダムの堤体及び貯水池の常時満水位以下は、発掘調査を行うものとする。
(イ) 河川の堤防敷及び低水路は、発掘調査を行うものとする。
ウ 恒久的な盛土・埋立
(ア) 厚さが3メートルを超える場合(3メートル以下でも、地表から確認できる遺構に不適当な場合及び地質・土壌条件を勘案して不適当な場合を除く。)は、発掘調査を行うものとする。
(イ) 水底遺跡は、発掘調査を行うものとする。
エ 建築物
基礎により(1)に該当する場合は、全体の発掘調査を行うものとする。
オ 上記以外の場合であっても、地下に残る埋蔵文化財の位置と範囲、遺跡の内容・性格等を記録する必要があると判断される場合は、確認調査(部分的な発掘調査)を行うものとする。