下の写真は、北海道千歳市ママチ遺跡第310号土壙墓から出土した国の重要文化財「土面」です。平成13年6月12日から北海道埋蔵文化財センター(江別市)で展示公開中です。ぜひ、この機会に北海道埋蔵文化財センターまで見に来てください。
国(文化庁)所蔵
この土面は、昭和61年に千歳市ママチ遺跡第310号土壙墓から出土した縄文時代晩期終末(今から2300年前ころ)のものです。
土面を詳しく見ていくと、
・鼻を中心に全体が膨らみ、曲面で表現されており、とても写実的です。
・楕円形の目と口は貫通しています。
・頭と耳には直径5ミリメートル前後の貫通孔があり、紐をとおせば顔に装着することも可能です。
・眉は、まわりより、もり上げて表現されており左右につながっています。
・鼻は眉よりも一段高く表現されています。
全体として端正な顔立ちで、ほりが深い点、鼻が直線的で高い点、口が受け口ぎみである点など、縄文人の顔の特徴を良く示した土面であるといえます。
顔の感じからモデルは大人の男性と思われます。
この土面は、墓の上から発見されたことから、墓標に付けられていたものが落下したと考えられます。
縄文時代の土製仮面としては最北の出土で、北アジアや極北地域の諸民族との関連が考えられる貴重な資料です。
上図 墓標に付けられた土面の想定図