木造十一面観音立像(有形文化財)

指定年月日:平成19年3月20日
所在地:苫前郡苫前町字旭37番地1苫前町役場
解説:本像は、13世紀前半に、奈良を中心に活躍した南都系の仏師善円の作風に近似する。やわらかく写実的な衣文や、やや複雑に結い上げる高い髻、凛々しく若々しい面相部の表現はこの時期の作仏の特徴を表している。
 十一面観音には普通、頭頂に菩薩面3、瞋怒面3、牙上出面3、大笑面1及び頂上を仏面とするが、本像には、そのうち瞋怒面2面が欠落している。頭頂にはこのほかに、正面に蓮華座に立つ化仏1躯を配する。左手は腹部前で宝瓶を握り、右手は、本来、錫杖を持していたと考えられる。
 この十一面観音立像は、明治23年(1890)ころに京都から伝来し、苫前町最古の寺院である金宝院(万延元年(1860)創立)に宝蔵された。長く金宝院に安置されてきた本像であるが、平成8年に苫前町に寄贈され、現在、寺院は廃寺となっている。
 なお、台座は、後補であるが、裏面に「元禄九年四月」「宝永四年十月」「尊栄」などの墨書があり、その由来を裏付ける資料となる。
 

木造十一面観音立像

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