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| 飛ぶ蝶 ●油彩・合板●1934(昭和9)●1212×849mm●独立美術協会第4回展 |
| 「窓カラヒラヒラト飛ンデキタ蝶ハ/呼吸シナイ白イ壁ニ足ヲトメタ/蝶ノ冬眠ガ始マル/而シ押エラレタピンヲハネノケテ再ビ飛ビ出ス事ハ自由ダ」三岸自作の詩「蝶と貝殻(視覚詩)」の一節である。詩で描写されたイメージがそのまま油彩画の「飛ぶ蝶」にも見出される。三岸自身のアイデアで、額縁には金属パイプが使われており、まるで標本箱のようである。その中の一匹が、留められていたはずのピンをはねのけて舞い上がろうとしている。不思議な白昼夢のような光景。そこには、当時最新の芸術思潮であったシュルレアリスム(超現実主義)の影響もうかがえるが、作品から香り立つみずみずしい詩情は、まぎれもなく天性のロマンチスト三岸独自のものであり、10年あまりの短い画業のうちにめまぐるしく作風を変貌させた三岸が、最後に到達した夢幻の世界であった。 |