○ 二度の学級閉鎖を越えて
現在、学校現場をはじめ様々なところで新型インフルエンザの影響を受けています。
全校生徒67名の本校にもその影響は大きくあり、二度の学級閉鎖を余儀なくされました。
そんな本校でのエピソードを紹介します。
今年の10月1日、富良野市では市内小中学校の児童生徒による音楽発表会がありました。
その発表会に参加するべく、特に今年の合唱は例年以上に生徒ががんばり、指導する音楽担当教諭もはりきって練習をしてきました。
同じく指導をしている吹奏楽部も部員が一生懸命練習し、いざ本番の明日というとき・・・。前日になってインフルエンザに罹患した生徒が複数名出てしまい、検討した結果、感染拡大防止ということから学級閉鎖とし、音楽発表会も辞退することになりました。
本校の音楽教諭は3学年担任でもあります。担任をしている3年生25名の生徒、そして全校生徒67名が一生懸命歌ってくれる姿を心から楽しみにしていたこと、また指導している吹奏楽部11名と一緒に聴いてくれる人が楽しくなるような演奏を目指して取り組んでいただけに、ショックは大きかったです。
何よりも一生懸命頑張ってきた生徒が一番悔しかったと思います。
学級閉鎖を判断した10月1日のある休み時間、3年生の前期生徒会長だった生徒が、「指導してくれた担任の先生のために休み時間、体育館で歌ってもいいですか?」と私に聞いてきました。私は「みんながそう思うなら歌ってもいいのでは?」とだけ伝え、前期生徒会のメンバーで生徒に呼びかけをして、全校生徒は体育館へ集まりました。
準備ができたところで担任を体育館へ誘い、ステージ前に整列している生徒を見て驚き・・・。企画した前期生徒会長が代表して、「今日は音楽発表会に参加できなかった分、みんなで歌います」と全校合唱が始まりました。その後、3年生だけの合唱が始まり・・・担任は泣きながら聴いていました。
その光景は学級閉鎖で参加できなかったという残念な場ではなく、指導してくれた先生と頑張った自分達のために必要な時間だったと感じました。お互いの思いを共有できた、本当に素敵な時間でした。
この音楽発表会の代わりに、どこかで本校生徒の合唱を披露する場はないだろうか?そう考えて、10月31日にある民放主催の音楽コンクールに参加しようと言うことになり、学校全体が動きました。
元々3年生が出場することになっていましたが、最終的に全校で参加しようと言ってくれたのは校長先生・教頭先生でした。教務の先生はバスの手配やお弁当の手配を一手に引き受けてくれ、全ての先生方が生徒の気持ちを高めるために配慮をしていました。
出場する最後の週、朝から体育館で合唱の練習を重ね、誰もが「今回は出場できる」と思っていた矢先の10月30日、本当に残念なことに3年生がインフルエンザによる学級閉鎖になってしまいました。他学年にも影響がある可能性もあることから、コンクールを辞退せざるを得ない状況になりました。
今回で2度目ということもあり、一生懸命指導してきた音楽教諭にどう声をかけていいのか、本当に頑張ってきた生徒にどう声をかけていいのか職員誰もが考えました。
学級閉鎖と決まった日、今の気持ちを伝えようと言うことで、全校生徒が音楽教諭に手紙を書くことになりました。
「明日はコンクールに参加できなくて本当に悔しい。」
「どこかでみんなと歌いたい。」
「先生、落ち込まないで。また歌える機会があれば一生懸命歌います。」
「先生だけが悔しい訳じゃない。私も大舞台でピアノを演奏したかった。次の機会でがんばりたい。」
生徒自身も悔しいはずなのに、その言葉の多くは先生を励ます言葉が多かったです。
二度の学級閉鎖は誰のせいでもありません。
しかしこの学級閉鎖から得たものは、合唱という1つのものに生徒も教員も全力で取り組んできた思いが共有でき、この思いを持ち続けて様々な場面で頑張ろうという強い絆だったのかもしれません。
ここまで取り組んできた先生・生徒の頑張りをこのままでは終わらせたくないと思っています。
まだ決まっていませんが、できれば次のチャンスとして11月15日(日)に本校体育館で行う、吹奏楽部の定期演奏会の中でみんなと歌うことができたらと考えています。
二度の学級閉鎖を越えて、さらに強い絆を実感するために。
富良野市立山部中学校 教諭 白石 真